アリナミンVという武田薬品系列の会社が販売しているドリンク剤をご存知だろうか。
「つらい疲れの回復に。」
というキャッチフレーズでCMもよく目にしますね。
疲労回復をうたうドリンク剤は巷にあふれています。
特に露出の多いこの製品が、本当に疲れに効くのか、成分から検討してみました。
アリナミンVが提供しているのは、「吸収の良いビタミンB1」(フルスルチアミン)でした。
端的に言えば、ビタミンB1のサプリメント。以上。
という感じです。
なぜこの製品が特段に疲労回復をうたえるのか、正直わかりません。
他のビタミンB1サプリとの違いは?
アリナミンVは効能を以下のようにうたっています。
- 疲労の回復・予防
- 体力、身体抵抗力または集中力の維持・改善
- 日常生活における栄養不良に伴う身体不調の改善・予防
- 病中病後の体力低下時、発熱を伴う消耗性疾患時、食欲不振時、妊娠授乳期または産前産後等の栄養補給
フルスルチアミン以外にカフェインなども含んだ効能になるので、成分ごとの効能がわかりにくいのですが、「特徴」に以下の記載があります。
- フルスルチアミン塩酸塩とビタミンB群を配合、疲労の回復・予防によく効きます。
フルスルチアミンが疲労の回復・予防に効くといっています。
一方で、ネイチャーメイドの商品ページではビタミンB1を以下のように紹介しています。
- 糖質を燃やし、エネルギーに変えるビタミンで、活力ある生活に欠かせない栄養素です。
ナウフーズの商品ページでは以下となります。
- 神経システムや筋肉の機能、神経と筋肉細胞の内外の電解質の流れ、炭水化物の代謝、そして適切な消化に必要な塩酸の生成といった、多数の体の機能に関わっています。
ビタミンB1は糖質の代謝で用いられる栄養素です。
吸収がよくなれば、食べたご飯やパンなどの炭水化物(糖質)をエネルギーに変えやすくなる。
だから元気になるし、疲労も回復がうながされる、ということなのでしょう。
アリナミンVにはエネルギーになる成分は特にない
ナウフーズの「ご使用の目安」には、「食事と一緒に摂取してください」とあります。
役割を考えれば、炭水化物とともに飲むことで、効果が表れそうです。
炭水化物とともに飲まなければ、いくらビタミンB1を飲んでもフルスルチアミンは効果を見せられません。
しかしアリナミンVにはそうした用法に関する記述はありません。
CMなども「これだけを飲めば元気になれる」ようなイメージを抱くような作りになっていますね。
糖質過剰を前提にした商品か
タンパク質や脂肪の方がはるかに効率がいい。
そうした効率のよい栄養素をおいしくとりやすく提供する、という商品ではありません。
糖質をおもな栄養としてとる人に対して、できうる限りそこからエネルギーを獲得する効率を上げましょう、という商品なんですね。
なんかまどろっこしくないですか?
もっとストレートにエネルギーを生むことができる栄養と、吸収を促進する酵素をセットにするとかできないものでしょうか。
結果的に、このドリンクを飲んだ人が感じる効能が、カフェイン由来の覚醒作用のみでないことを祈るばかりです。
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